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木材の色を思い浮かべると多くの人は「茶色」を思い浮かべるのではないでしょうか?しかし、人間には様々な色があるように木材にも様々な色があります。今回紹介する「パープルハート」の色は紫色。紫は人の緊張をほぐし、不安感を和らげてくれる効果があります。そんな紫色の「パープルハート。」果たしてどんな個性があるのでしょうか?
パープルハートってどんな木?
■なんと言っても・・・この紫色!
世にも珍しい色調を持つ「パープルハート」
「これは着色ですか?」とよく聞かれます。驚く事なかれ、木そのものの色なんです。恐らく、木の世界で最も鮮やかで独特な色をしています。別名「バイオレットウッド」とも呼ばれます。
日本では馴染みの薄い樹種ですが、欧米では15世紀頃から家具や工芸品としてよく使われ、ルーブル美術館にもパープルハートと繊細なブロンズのコントラストが美しい作品が多く展示されていると言われています。
空気に触れ時間が立つと徐々に紫色へ、中には赤ワインのような深い色へ
パープルハートは、名前の通り紫色のイメージが強いですが、伐採した直後にはこのような美しい紫色ではなく褐色なのです。空気に触れ時間が立つと徐々に紫色へ、中には赤ワインのような深い色に変化していきます。
美しい色調を活かして、家具や装飾材、フローリングなどの建材、ビリヤードのキューにも活用されます。
■アマゾンを中心に植生
南米のアマゾン北中部からメキシコなどの中央アメリカに亘り植生しています。樹高は30-40m、直径は1mを超える樹木も存在する巨木・大径木です。
パープルハートは堅くて重いですが、その分、耐久性に優れています。乾燥後の曲(クセ)、ねじれ、反りといった心配も少ないので、長年使用できる事も魅力です。蓄積量は十分あるためまだまだ生産可能と言われています。
■10~15年前に丸太が日本へ
ちょうど10~15年前に丸太が日本へ輸入され始めました。
主にテーブルやカウンター、木工作品として利用されていますが、まだ知名度が高い木材ではありません。しかし、1度目にすると忘れられないもくざいのため、どっぷりのめり込むファンも多数いらっしゃいます。
■他と決定的に差をつけるには最適
ひときわ個性的な色を持つパープルハートは自然と「人を呼ぶ」素材です。なんだか、いろんな人たちに見てもらいたくなる圧倒的な存在感を放っています。家具や建材でパープルハートを取り入れたら、かなりアクセントが利きます。
また、色彩学的には、紫色は「高級感を漂わせる色」とされており、高貴な演出をする際には良く使われているため、ラグジュアリーテイストにはオススメです。
但し、使い過ぎは禁物。紫ばかりになってしまうと、与える印象が少し暗くなってしまうかもしれませんので、ワンポイント・アクセント・生活空間の顔として「目立たせる」使い方が良いかもしれません。
ルーブル美術館に展示された家具にパープルハートが
18世紀のフランス、ロココ調の高級家具職人シャルル・クレッサン(Charles Cressent、1685年~1768年)は、パープルハートを収納やデスクなど、さまざまな家具の化粧面材として使用しました。
「一段と濃い色のパープルハートを使用することで、ブロンズがより引き立つ」と、そのコントラストを好んでいたと言われています。代表的な作品は、「箪笥」「平らな書き物机」「子供をモチーフにした一対の整理箪笥」「コモード」などであり、これらはフランスのルーブル美術館が所蔵し、展示されていた記録があります。クレッサンの代表作のひとつである「箪笥」は、19世紀の多くのフランスの高級家具職人に感銘を与えました。
おわりに
今回は「パープルハート」を特集しました。紫色は「高級感を漂わせる色」とされており、高貴な演出をする際には良く使われているため、ラグジュアリーテイストにはオススメです。また、赤色が好きな方にはブビンガという樹種をオススメします。ブビンガについて過去に詳しく解説しています。こちらをご覧ください!