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日本書紀にある一節がある。「スギとクスノキは舟に、ヒノキは宮殿に、マキは棺に使いなさい。」古くから社寺など最高級の建築材として使われているのが今回特集するヒノキです。尊く最高のモノを表す「日」をとって「日の木」と呼ばれたのが起源と言われるこの樹種はどんな特徴があるのでしょうか?今回も木材のプロフェッショナル「材木屋のおやじとせがれ」の八田さんに聞きました!
■ヒノキは、どこに生えているの?
実は、大半のヒノキは植林材
日本人にとってヒノキは古くから生活に密着して存在しており、愛着も大変深い木材です。日本国内ではスギ(杉)に次いで造林面積が広いです。
しかし、実はヒノキの分布は意外や意外、福島県東南部~長野県木曽以南で、全国どこでも採れるわけではありません。
また、天然ヒノキの群生地は木曾谷(長野県木曾郡、木曽川上流域)以外ほとんどなく、大半のヒノキは植林材と言われています。
木曾・和歌山県高野山・高知県西部が良質なヒノキの産地
天然木としては木曾・和歌山県高野山・高知県西部に良質のヒノキがある地域として知られ、造林木としては、三重県尾鷲、奈良県吉野、静岡県天竜などが有名です。
用途は非常に幅広く、高品質な材料として使用される事が多いです。実は使用方法としてはヒノキも生育した土地で使われる事が最善であり、古くから各地の神社や仏閣では「社木」としてヒノキを植林し、丁寧に管理して社寺仏閣の改築などで使用できるように大切に保存しています。
■伊勢神宮の式年遷宮に使われているヒノキ
日本では、ヒノキは王侯貴族の木という概念が古くからあり、宮殿や社寺はヒノキで造られてきました。その代表的なヒノキ建築が「伊勢神宮」です。
伊勢神宮は125の建物から成り立ち、20年に1度、「式年遷宮」という社殿と神宝を新調して大御神に御遷り願う神宮最大の神事が執り行われます。木材は全て「木曾ヒノキ」が使用されています。
■日本の最高構造材ヒノキ
切ってから200年まで強くなり続けるヒノキ
様々な用途のあるヒノキですが、構造材として最高級と言えます。ヒノキと同様にケヤキ材も古くから社寺仏閣で使われますが、耐久性はヒノキに軍配が挙がります。
ヒノキは切ってから200年まで強くなり続けると言われています。200年後からはゆっくりと強度が弱まっていきますが、1000年程経ってようやく切った当時の強さに戻ると言われています。
鉄やコンクリートの耐久性は、100年と言われており耐久性という観点に置いては、ヒノキに軍配があがります。
京都にある清水寺の舞台はヒノキ板が張られており、国立劇場・歌舞伎座・能楽の舞台も尾州ヒノキで造られています。日本最古の木造建築物である奈良県にある法隆寺の柱にはヒノキが使われているのです。
水湿腐食に強いヒノキ
また、檜は水湿腐食に強い事から、現在でも建築物の土台にはヒノキが多く使われます。一般的には、日本の木造住宅は北米から輸入された構造材が使用されてきましたが、2021年から発生したウッドショックと呼ばれる建築用木材の供給減・価格の高騰により、国内材への回帰する流れも生まれています。
檜風呂や風呂用具にも多く用いられます。他木材製品よりも値が張りますが、長持ちするため実は経済的なんですね。
■やわらかい肌触りと香りが特徴的
ヒノキは比重が軽く非常にやわらかい事が特徴ですが、強い衝撃を与えるとやわらかい分キズが付きやすい一面もあります。ただ、たとえば風呂道具や椅子(ベンチ)など肌に直接触れるものとしては、広葉樹のような冷たさがなく温かい印象を与えます。
ヒノキの独特の香りはどこか日本人の心を癒してくれます。コロナ禍にありお家時間が増えた方も多いと思いますが、ヒノキの香りが好きな方は、生活のどこかにヒノキを取り入れてみると良いかもしれませんね。
抗菌・消臭効果のあるヒノキはキッチンにもおすすめ
ヒノキの成分である、αカジノールには木材を腐らせる腐朽菌の繁殖を抑える効果があります。
また、ヒノキオール(という成分には様々な抗生物質に耐性を持つ病原菌に対する殺菌作用があることが確認されています。
そして、様々な匂いのもとになるアンモニア臭をはじめとする様々な匂い成分を分解する効能があり、このヒノキの効果はヒノキ精油を活用した製品などに応用されています。
海外で大人気なジャパンディスタイルにもピッタリなヒノキ
また、ヒノキはジャパンディスタイルな空間を作るのに最適です!ジャパンディスタイルは、日本の「間」と北欧の暖かみが融合した今海外で大人気のインテリアスタイルです。