目次|もっとみる
『 世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし 』この短歌は、 平安時代前期の勅撰和歌集『古今和歌集』にて在原業平により歌われた一首です。
「もし世の中にまったく桜がなかったなら、桜の花が咲くのを待ち望んだり、散っていくことを悲しんだりすることもなく、春のひとの心はもっとのどかだっただろうに」という意味です。
平安時代から日本人の心の中にある「桜」は、どんな個性があるのでしょうか?今回も木材のプロフェッショナル「材木屋のおやじとせがれ」の八田さんに聞きました!
優しく淡い赤・ピンクの色味が特徴
言わずと知れた日本の代表的銘木「サクラ。」実は多種類・品種があります!木材としては、ヤマザクラ(山桜)やシュリザクラ(朱理桜)が本流といったところです。
種類はたくさんありますが、木材として利用される量は非常に少ないため、大変貴重な木材です。
ヤマザクラやシュリザクラが非常に稀少なため、現在ではカバなどがその代替品として利用される事も多いです。
桜の花のように優しく淡い赤・ピンクの色味が特徴で、女性から圧倒的な支持を受けています。また、加工しやすく耐久性にも優れており、古くから楽器や食器、家具材として使われてきました。
特別に大径木に成長する木ではないため、まとまった量は入手が困難です。「これ好き!」と思うサクラに出会ったらそれはご縁ですので逃したら次はないかもしれません!
桜は、実は日本の国樹ではない?
国花や国樹とは「その国を象徴する草花・花木のこと」です。貨幣に描かれたり、国の象徴として国旗に描かれたりするなど、国民に広く知られています。
例えば、中国なら「牡丹」、イングランドでは「バラ」、スイスは「エーデルワイス」、カナダは「サトウカエデ(メープル)」が国花・国樹と定められています。
しかし、日本やアメリカ合衆国、イタリアでは、州で定めているケースはありますが、国花・国樹は制定されていません。サクラは日本の代表的な樹木ですが、実は法定国花・国樹ではないのです。
とは言え、春になると美しい花を咲かせ日本人の心に残る魅力があります。
花言葉は「精神の美」「優美な女性」「純潔」
サクラに込められた花言葉は「精神の美」「優美な女性」「純潔」です。
桜材は、あたたかみのある雰囲気、ナチュラルテイストなお部屋にはピッタリです。インテリアとしても雑貨としても、そのやわらかい雰囲気や色味は絶大な人気を誇ります。
また、日本を代表する樹木ですから、古くから和のお家にも愛用されていますので、日本家屋や和室にも十分マッチする逸品です。
ソメイヨシノとヤマザクラの違い
「桜」というと、ソメイヨシノやシダレ桜など、お花見でおなじみの名前が浮かんできます。ソメイヨシノは園芸種で、自然に生えているのは野生種といい、分類されます。木材の世界で、桜といえば、ヤマザクラやシウリザクラです。
(ヤマザクラは、シロヤマザクラ、オオヤマザクラ、カスミザクラなどの総称です。)ヤマザクラは、山に自生している野生種の桜で、白や淡いピンク色の花を咲かせますが、オオヤマザクラは、ソメイヨシノより濃いピンク色の花が咲きます。
ヤマザクラは、箸やカトラリーなど小さなモノから、家具や内装材など幅広く使われています。流通量はそれほど多くはないそうですが、緻密な木肌で自然な光沢があり、色も良くきれいな木です。