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オシャレな椅子を見ると心が動かされませんか?2022年7月23〜10月9日まで東京都美術館で「フィンユールとデンマークの椅子」が開催されました。アルネ・ヤコブセン、ハンス・J・ウェグナー、ボーエ・モーエンセンと共に「北欧家具の4代巨匠」に数えられるフィーンユール。フィンユールやデンマークの椅子をもう一度家具屋さんで見返してみませんか?
フィンユールとは?
彫刻のように滑らかな曲線、どこから見ても美しいフォルムが特徴
フィン・ユールは、1950年代にデンマークをデザイン大国として世界に広めたデンマーク出身の建築家であり、家具デザイナー。彼のデザインする家具は彫刻的な美しさを誇るデザインの芸術性と、チェアやソファなどの座った時の居心地の良さと言った実用性の両方を兼ね備えています。
しかし彼のデザインする家具は当初、個性的で彫刻的なデザインであるがゆえに家具としての評価を得なかったと言われます。
「フィン・ユール家具」は、彫刻のように滑らかな曲線、どこから見ても美しいフォルムがその特徴です。芸術品として家具を捉えていた「フィン・ユール」の姿勢を彼のデザインした家具から感じ取って見ませんか?
フィンユール展に登場したフィンユールの椅子たち!
幻の椅子「グラスホッパーチェア」
1938年、ニールス・ボッターと組み、初めてギルド展に出品した作品。2脚作られたがその後人の目に触れることなく「幻の椅子」と呼ばれていました。
2018年パリのオークションに現存していた1脚が出品され319,000ユーロ(約3,800万円)で落札されました。オークションの前に出品者の許可を得て採寸を行い、復刻が実現しました。
日本では静岡県浜松市のデニッシュインテリアスショールームで見ることができます。
ペリカンが羽をふわりと広げているようなペリカンチェア
ペリカンチェアは、フィン・ユールがアカデミーを卒業し、わずか6年後である28歳の時にデザインされました。
ペリカンチェアの羽根の部分である背もたれが、ゆったりと身体を包み込み、安心感や落ち着き感をもたらします。大きな背もたれがあるだけでなく、ゆるやかに座面が後傾しているため、自然な形で身体をあずけることができます。
こちらの椅子は大塚家具有明ショールームで見ることができます。
「優しく滑らかなフォルム」「柔らかな色合い」が特徴!ポエトソファ
「フィン・ユール」は「ポエトソファ」を木彫の「エリック・トメセン」、石膏レリーフの「ハンス・アルプ」に影響を受けて作られました。
そのため木彫りの柔らかな素朴な質感、石膏の滑らかな素材感を持っています。何とも言えない丸みを帯びたデザイン、彫刻で彫られたように一体成型された本体が美しい姿となっています。
こちらは大阪の阪急梅田で見ることができます。
「世界で最も美しい肘をもつ椅子」といわれる名作、”No.45”「イージーチェア」
世界で最も美しいアームを持つチェアと評されるNo.45チェア。
No.45はフィン・ユールがヴィルヘルム・ラオリッツェン建築設計事務所から独立後に最初にデザインした家具です。
一番の特徴はアーム部分。美しさを引き出す為に極限まで薄く研ぎだされており、思わず腕を滑らせたくなる様な3次元曲面による美しいカーブで構成されています。また、チェアの後ろ姿が美しい点などもフィン・ユールらしい作品となっています。
こちらの椅子は大塚家具有明ショールームで見ることができます。
コストがかかりすぎるという理由ですぐに生産が中止された NV46 アームチェア
1946年に発表され、ニールス・ヴォッダー工房にて生産されるも「コストがかかりすぎる」という理由ですぐに生産が中止されてしまったという珍しい椅子です。
コストがかかってしまった大きな理由の一つが「曲げ」を使用せずに再現されたフレームのデザイン。特に背面から後脚のかけての繊細な曲線はこれだけの幅を1本の無垢から切り出しているため、圧倒的に削り取られた部分の方が多い事が分かります。
その壮大な無駄によって生み出された木目とラインこそが芸術品のような美しさを湛える本作一番の見所でもあります。
EGYPTIAN CHAIR(エジプシャンチェア)
EGYPTIAN CHAIRは、1949年のコペンハーゲン家具職人ギルド展で発表されました。同時に発表されたチーフテンチェアと同じディテールを持つ椅子です。
チーフテンチェアは弓、盾や馬の鞍など古い武具をモチーフとしてデザインされたと言われていますが、エジプシャンチェアと同様のディテールである背もたれを支えるデルタ状のフレームは、エジプトの古代画に描かれた椅子がモチーフとなっています。
デザイン評論家はフィン・ユールのエジプシャンチェアを、古代エジプトの椅子のデザイン、現代のリズムと流線型デザインの奇跡的な融合であると評しました。
こちらは大阪の阪急梅田で見ることができます。
弓、盾や馬の鞍など古い武具をモチーフ「チーフテンチェア」
フィン・ユールの代表作と言える「チーフテンチェア。」その彫刻のような美しい造形は、家具の彫刻家と呼ばれるユールならではのデザインです。
フィン・ユールが自邸の暖炉の前でくつろぐためにデザインされたラウンジチェア。
大きく優美で存在感のあるフォルムはチーフテン(酋長:未開の部族の長)の名にふさわしいデザインです。発表と同年に開催された展示会に出品した際、当初はその独特なデザインから賛否両論分かれていましたが、デンマークのフレデリック国王の目にとまり、国王自ら着座したことで、一躍有名となりました。
こちらの椅子は大塚家具有明ショールームで見ることができます。
ウィスキーグラスを置いてくつろぐことができる「ウイスキーチェア」
「Whisky Chair」は、フィン・ユールの芸術的感覚から創られた形態・機能・ディティールの美しさが特徴。
右のアームは端に向かって有機的に伸び、ハンドメイドの半月型の真鍮製トレイがデザインされます。この真鍮製トレイの表面にはウィスキーグラスを置くことができるよう形作られ、開いて円形に展開することができます。
また、張地はファブリックもしくはレザーからお選びいただけ、熟練の職人が手作業で張り込みを行います。フレームには厳選された最高品質のウォールナット材を採用、さらに脚先も真鍮が施されるなど、全体を通し、挑戦的でありながら遊び心のあるデザインとなっています。
こちらの椅子は大塚家具有明ショールームで見ることができます。
彫刻のように立体的なフォルムベが特徴な「べーカーソファ」
と見て目を引く、体を包みこむように左右に伸びる背もたれ。彫刻のように立体的なフォルムで、置くだけでその空間を華やかにし、絵になるソファ。
肩まである高めの背もたれがしっかりと体を支え、 リラックスにぴったりの心地よさ。座ると自然に背面に体が傾くように、角度がつけられた座面。 ひとつひとつが計算されてつくられた、極上のリラックスソファです。
こちらの椅子は大塚家具有明ショールームで見ることができます。
日本の木造建築や神社の鳥居からヒントを得た ソファ「Japan」
中間を膨らませたエンタシス状の脚と水平線が強調された背もたれのラインは、日本の木造建築や神社の鳥居からヒントを得たものと言われています。
丸い笠木から真鍮の金具を介して支えられ浮いたように見える背もたれなど、シンプルな構造ながら全体的にフィン・ユールのデザインらしい非常に洗練された印象を持っています。
また、背もたれを支える丸い笠木の両端の窪みなどには”ディテールのデザインにこそ遊びの幅を持たせる事ができる”と言ったフィン・ユールのこだわりが見られます。
こちらの椅子は大塚家具有明ショールームで見ることができます。